犬神持ち一家の薩摩逃亡
どんな伝承か
犬神筋への排斥がいかに厳しいものだったかを示す事件が、寛文十二年に土佐国で起きている。現在の高知県土佐清水市下ノ加江、もとの下萱浦に住んでいた百姓の九郎右衛門の一家九人が、そろって薩摩へ逃亡したのである。九郎右衛門の子の仁右衛門は薩摩藩の取り調べに、自分の家は代々犬神持ちで、親が近年みだりに人に犬神を憑けてしまい、諸人に対して面目がないと常々迷惑がっていた、他人を恨んではいないと訴えた。欠落は封建的身分秩序からの逃亡で死罪もありえた重罪である。それを覚悟で故郷を捨てたのは、村八分にひとしい排斥に耐えかねたためだろうと著者はみる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・現代)