腸捻転の昏睡で見た七色の花畑
どんな伝承か
1953年秋、22歳の岡ふさ江さんは京浜急行の逗子営業所でバスガイドをしていたが、体調を崩して事務に回っていた日に床を転げ回るほどの腹痛に襲われ、腸捻転で病院へ運ばれて手術を受けた。その後四日間意識が戻らず、臨終を何度も告げられたという。その間、髪をつかまれて底のない井戸のような暗い所へ引き込まれ、ふっと体が軽くなると、銀色に光る帯の向こうに七色の花が一面に咲く明るい場所へ出た。遠くの三人のうち背の高い一人が手を振って招くが、近づこうとするたびに足をつかまれて引き戻され、やがて目を覚ますと親戚が寝台を囲んでいた。手招きしたあの背の高い人を、母は亡くなった祖母ではないかと言ったが、本人はそうとも違うとも言い切れないという。
原典より
そのうち、銀色のキラキラの向こうが全部花なのがわかりました。—— 証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・1996年(平成8年))
『証言・臨死体験』は、立花隆が文藝春秋の雑誌『クレア』に連載し、一九九六年に単行本として刊行した臨死体験の証言集である。俳優の安田伸、作家の水上勉、彗星探索家の木内鶴彦、プロレスラーの大仁田厚、映画監督の羽仁進など、病気や事故で死の淵に臨んだ二十三人の体験を、本人や家族からの聞き取りで記録する。各章は人物の略歴と前置きに続けて問答形式の談話を載せ、本人の著書や手記からの引用も交える。