日が悪いと手当てを遅らせた大商人
どんな伝承か
同じ書の中で、著者は日取りの吉凶が命取りになった例も挙げている。日本橋のある大商人が腸捻転を起こし、猛烈な腹の痛みに襲われた。ところが今日は日が悪いといって医者を呼ばず、日付の変わる午後十二時を過ぎるのをじっと待つ。それから慌てて迎えを出したがすでに手遅れで、手術のかいもなく死んでしまった。著者は臨床の場で、患者やその周囲が抱く迷信のために尊い命が失われる実例を幾度も見せつけられてきたと記し、実害の大小を第三者が勝手に決めて線を引くのは妥当でないと述べる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 2――俗信と迷信(文部省迷信調査協議会・日本の俗信・昭和(1949-52))
文部省迷信調査協議会『日本の俗信2―俗信と迷信』(昭和24-27年)。シリーズ第二巻で、迷信の理論的考察と各論を収める。