天井からぶらさがる足
どんな伝承か
小説家の山中峯太郎が広島市の幟町にいた頃のことである。山中がまだ九つのとき、ある夜近くの女学校が焼け出したので、家人は裏の畑へ出てそれを見ていた。その時山中はただ一人台所へ行って立っていたが、何かしら悪寒を感じて眼をあげた。すると、すぐ頭の上の天井から不意に大きな足がぶらさがった。それは確かに人間の足で、婢室の灯を受けて肉の色も毛の生えているのもはっきりと見えていたが、その指は大人の腕ぐらいあった。山中は怖いというよりも、ただ呆気にとられてそれを見つめていた。二、三分も経ったかと思う頃、その足は煙のようにだんだんと消えてしまった。
原典より
* 奇蹟の処女 (244)* 殺した実母が迎えに来る (246)* 母の変死 (247)* 石地蔵の首を締める (250)* 池の中の足首 (253)* 蟹 (255)* 竹杖に芽を吹く (2…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
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