灰汁桶
どんな伝承か
信州伊那郡殿島の農家に、親猿と小猿を二匹飼っている者がいた。ある日、主人が野良へ出た留守に、女房が洗濯のため灰汁を焼き、熱灰と一緒に桶へ入れておいた。小猿が桶の縁に上がって遊ぶうちに熱湯の中へ滑り落ちて死んだ。親猿が泣き悲しんでいるところへ主人が帰り、怪我だから諦めろと言うと、親猿は鍋の蓋を持ってきて桶に被せて見せた。主人は意味を悟り、暇をやるから山へ帰れと言った。親猿は恨めしそうに主人を見ながら小猿の死骸を抱いて出て行き、殿島河原の橋を渡って半ばまで行ったところで河へ身を投げて死んだ。
原典より
信州伊那郡殿島の農家に親猿と小猿と二疋飼っていた者があった。—— 日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・明治~大正時代(編纂・出版は20世紀前半推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・明治~大正時代(編纂・出版は20世紀前半推定))
宝蔵の短刀=怨霊と祟り(日本の怪談)/幽霊の自筆・船頭の霊/義人の姿と因果応報/土佐・各地の怪異/田中貢太郎の怪談