東京から屋敷へ帰った青い人魂
どんな伝承か
四十年あまり前の行幸田での出来事。語り手が家の前の道で子どもといたところ、直径二十センチほどの玉が、一メートルばかりの青い炎の尾を引いて、隠居の屋敷に落ちた。子どもは怖がってしがみついてきた。この隠居はもともと屋敷を売り払って東京へ出て行った人である。翌日、東京から隠居が亡くなったという知らせが届いた。東京で息を引き取った人の霊が、人魂となってかつて住んでいた家へ帰ってきたのだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ・1980年代-1990年代推定)
本書は群馬県渋川市の民俗編として、地域に根ざした信仰体系と死生観を記録した資料である。民間信仰と俗信を既成宗教以前の下部構造と位置付けた上で、死の前兆(人魂現象、予知)、生死の境での異世界体験、死後の蘇生・生き返り、転生輪廻などの多様な事例を収集している。特に行幸田地区では生き返り事例が集中し、地域固有の信仰と関連する可能性が高い。