次男を亡くした嫁が乳呑児を残して里へ帰り
どんな伝承か
群馬県群馬郡古巻村の斎藤お作という老婆は、当年七十三で、一昨年から両の乳房に十分な乳が出るようになったという。記者が不思議に思って古巻村を訪ねると、お作は孫のおとうを抱いて乳を含ませながら語った。一昨年に次男の源吉が亡くなり、その時、嫁のお熊の腹にこの孫が宿っていた。お熊は年若で亭主に死なれたと言い、乳呑児を残して里へ帰ったので、お作は頼りない孫を抱えて途方に暮れた。ミルクを買うこともできず、二十七日の間一心不乱に信心したところ、その年の十一月頃から乳が出るようになり、孫は三歳まで達者に育ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象治病法(心霊学研究会・近代(明治〜大正・霊術))
心霊学研究会編『心霊現象治病法』。精神と肉体の関係(一体一元論・心身相関)を理論的基礎とし、精神力によって病を癒す心霊療法を説く明治〜大正期の霊術書。観念・暗示・感應・睡眠と覚醒・潜在意識の働きを論じ、霊魂不滅と神人合一の思想を背景に、疾病の心霊療法、天地療法・轉地療法、加持祈祷、人が具える自然力としての法術を扱う。