そばを通った人へ移った死神
どんな伝承か
祖母島の話。ある人が夕方まで畑で働き、帰ろうとしたとたんに、急に死にたくなった。枝ぶりのよい桑の大木を見つけて首をくくろうとしたところ、上の方から人がどたどたと下りてきたので思いとどまった。次にまだら様の石段に腰かけ、どうやって死のうかと考えていると、すぐそばを人が通り過ぎた。するとその気持ちがすっと消えてしまった。かわりに、そばを通ったその人がまもなく土蔵の中で首を吊って死んだ。死神がその人へ乗り移っていったのだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ・1980年代-1990年代推定)
本書は群馬県渋川市の民俗編として、地域に根ざした信仰体系と死生観を記録した資料である。民間信仰と俗信を既成宗教以前の下部構造と位置付けた上で、死の前兆(人魂現象、予知)、生死の境での異世界体験、死後の蘇生・生き返り、転生輪廻などの多様な事例を収集している。特に行幸田地区では生き返り事例が集中し、地域固有の信仰と関連する可能性が高い。