新俳優の見た幽靈
どんな伝承か
ある有名な新派俳優が名古屋へ興行に来て馴染みの宿に泊まったが、客が多く空いている部屋がなく、庭続きの離れ座敷に通された。夜更け、白い着物をまとい髪を振り乱した年増の女が蚊帳の外にぬっと現れ、蚊帳をめくって入ってこようとする。俳優は胸を轟かせながら、枕元にあった長い煙管でその女を思い切り打ちすえると、女は消えて元の部屋に戻った。翌朝、宿の主人にゆうべの出来事を訴えると、主人は頭をかきながら、前日病死した女中を客が立て込んでいたため離れの縁の下に隠しておいたことを白状した。死骸を確認すると、眉間に俳優が打ちすえたような痕がついていたという。
原典より
* 貞女の幽霊と勝四郎* 三人見た白い手の幽靈* 他女の體に宿る幽靈* 伯母の幽霊が暇乞* 幽霊の髪を剃る* 改葬を頼む幽霊* ハムレットの見た怨靈—— 幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前))