老猿顔の異人と懐へ飛び込む柿
どんな伝承か
『北越奇談』の同じ年の秋の話。村松山の北にある河谷村の百姓が、近村から子守の少女を雇った。ある日、童女らが村端の茶屋で柿を買って食べる中、その少女は銭がなく羨むばかりだった。すると面が赤く老猿のような顔をした白衣の者が来て柿をやろうかと問い、少女が喜ぶと店の柿が四つ五つ独りでに飛んで懐に入った。他の童女には見えなかった。以来、家でも欲しいと思う物が飛んで懐に入る。主人が元の家へ返そうとすると家財道具が飛び回り、少女を上座に請じると止んだ。村長が叱ると草鞋が飛んで頭を覆い、村中が騒動になったという。
原典より
即ち店の柿四つ五つおのれと飛び来り、少女が懐へ入る。—— 心霊学講義(変態心理学講義録)(小熊虎之助(述)・日本変態心理学会・心霊学・変態心理学) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊学講義(変態心理学講義録)(小熊虎之助(述)・日本変態心理学会・心霊学・変態心理学)
『心霊学講義(変態心理学講義録)』は、文学士小熊虎之助が述べ、東京の日本変態心理学会が出した心霊学の講義録である。心霊研究の態度と詐術の例から説き起こし、こっくりさんなどの自働現象、精神感応、交霊、透視と未来の予知、心霊物理現象、騒ぐ幽霊を、英国の心霊現象研究会の調査例や講者が盛岡で確かめた事例を引きながら心理学の立場から論じる。終章で長尾夫人や三田光一の念写を検討し、巻末に内外の参考書解説を付す。