深坑から救出さる
どんな伝承か
孝謙天皇の時代、美作国英田郡の鉄山で坑口が崩れ、逃げ遅れた鉱夫が竪坑の底に閉じ込められた。外からの救出はかなわず廃坑とされ、家族は死者として写経をして弔った。だが鉱夫は坑内で生きており、法華経書写を願いながら果たせなかったことを悔いて一心に仏を念じた。すると僧形の者が小穴から現れ、妻子が供えた食物を与えて必ず助けると諭す。やがて穴は広がり、葛を採りに来た村人二十余名が声を聞きつけ、葛で編んだ籠を下ろして五十余日ぶりに救い上げた。鉱夫は僧を観音の化身と信じ、以後写経の願を遂げたという。
原典より
中古孝謙天皇の時代に、美作國英田郡の鐵山の坑口が崩壊し、逃げ後れた一人の鑛夫が、崩士に坑口を塞がれた爲に、内に閉ぢ込められて了つた。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))