縄を解かれて消えた女の亡霊
どんな伝承か
江戸の中ごろ、池城新左衛門という侍が根岸の友人を訪ねた帰り、ある寺の山門の前を通りかかると、人らしいものが転がったり跳ねたりしている。目を凝らせば手足を縄で縛られた女だった。近寄ると女は低い声で、自分はこの世のものではない、男に騙された恨みからその男を殺した科で鈴ヶ森で処刑され、こうして縛られたまま穴に埋められたのだと言う。死霊に追われて成仏できず、毎夜ここに立つが誰もが逃げてしまう、縄を解いて葬ってほしいと頼んだ。新左衛門が解いてやると女は消え、触れた体の冷たさだけが残った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集