阿漕が浦の水底に沈められた平治
どんな伝承か
伊勢湾に面した阿漕が浦は、参宮線の阿漕駅から北東へ二キロほどの美しい浜で、八十八夜の頃に鯛が群れて浮き上がる「浮き鯛」の名所でもあった。伊勢の内宮・外宮の祭典に供える干鯛はここで釣った鯛から作られ、神宮の御用以外の漁は固く禁じられていた。それでも密漁は絶えず、平治という漁師は病の母に効くというヤガラを求めて禁を犯し続け、ついに捕らえられて浦の水底へ沈められた。処刑ののち、命日の深夜に沖から網引きの声が響き、波間に平治の姿が浮かぶといった怪異が続いたため、人々は塚を築いて霊を鎮めた。七月一六日にはいまも法会が営まれ、漁師は漁を休む。浜の近くには花崗岩の玉垣をめぐらせた阿漕塚の巨碑が立っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊大全(中岡俊哉・1970年代~1980年代)
奇怪なお菊人形(心霊大全)/心霊写真と自殺者の霊/北海道の怪奇現象/憑依と祟り/中岡俊哉の心霊蒐集