井戸の埋立跡に写った濃霧状の像
どんな伝承か
用機霊写は、術者自身が写真機に触れなくても、写すという意識さえ働かせれば、誰が撮っても被写体に関わる心霊が乾板に現れるとされる。大正九年五月十四日、東京神田表神保町のある商店で、氏が二階で人と話をしているあいだに、筆者は階下にある井戸の埋立跡を撮影した。持ち帰って現像すると、細かい粒子が濃い霧のように集まって三日月の形をなし、そのほかにも特有の変化が乾板に現れていた。心霊写真を写そうとする意識は器械や器具を介して伝わるものではないから、数千里離れていても、また撮影の時刻をあらかじめ決めておかなくても同じ結果が得られる。この実験はそれを示すものだと筆者は述べる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈寫眞の研究(大和田徳義・大正6年~大正9年(1917年~1920年))
本書『心靈寫眞の研究』は、大和田徳義による心霊写真研究の実践記録である。著者は日光氏という霊写能力者と協力し、大正6年から9年にかけて東京と福島県で一連の霊写実験を実施した。主要な実験は、神田表神保町の井戸埋立地、福島県の炭鉱坑道(明治40年の失火事故の霊)、小野田炭山隧道(明治29年の馬車事故の霊)、麹町区永田町の因縁調査、弁護士邸での三百六十枚乾板実験である。