神木を伐った罰を祈禱で癒す
どんな伝承か
著者は苫米地校長と濱中乙八に案内され、早朝の雪道を踏んで見町のアリマサ婆の家へ向かった。ところが婆は前夜、八栗平という村から病人の依頼を受けて祈禱に出たまま帰らないという。そこで六十余歳の息子に案内され、見町から半里余り西の八栗平へ向かった。病人はその家の主人で木樵を業としていた。数日前に山から帰ると急に右手が痺れて動かなくなり、皮膚の色が変わって熱まで出て、四五日はほとんど湯水も通らなかった。ところが前夜、婆に祈禱してもらうと一度ですっかり気分が直り、その日は炉端まで出てきた。婆は神木を知らずに伐った罰だと言って詫びさせたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、雑誌『變態心理』を主宰した中村古峽による変態心理学の論集である。二重人格・夢遊病・狐憑き・神隠し・催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教の神懸りを妄想や人格変換として退け、霊能を称する火渡りや針刺しなどの実験の種を明かす。終わりには迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収め、著者自身の被験者や綾部の大本教訪問の見聞も例に引く。