誰も入らない淵に残された手袋
どんな伝承か
東京都奥多摩町、多摩川と日原川の合流点より上流にある「もみあわせ」という釣り場での体験。杉山陸男が渓流釣りに入ると、誰も入っていないはずの淵で良型のヤマメが次々に釣れた。大石の上には外科手術用の手袋が二人分並んでおり、後に出会った老婆から、そこは十八歳の娘が投身自殺してから誰も入らない場所だと聞かされ、手袋は検死の際の忘れ物だろうと言われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
水辺の怪談 ベスト(つり人社・2000年代~2010年代推定)
つり人社が編んだ釣り人の実話水辺怪談アンソロジー。瀬戸内や伊豆大島でのお盆の夜釣りの金縛り、自殺の名所の橋や三段壁で『釣れますか』と声をかけ足音なく消える白装束の女、小笠原父島の原生林に残る日本軍兵士の気配、河口湖のススキ林で消える話し相手、利根川支流で水中から船を掴む男、トーナメント中の憑依と機器故障の連鎖、藻に引き込まれる滝壺など、水辺で釣り人が遭遇した怪異を集める。