真昼の奥多摩の街道を歩く男の影
どんな伝承か
昭和五十九年十一月、午後二時頃のこと。語り手が妻と奥多摩の街道を歩いていると、妻が何かを感じて振り返った。すぐ後ろを、暗い影のある若い男が歩いている。しばらく進んでも追い越してこないので、もう一度振り返ると、男の姿はなかった。ぞっとしたが、話せば笑われると思って黙っていた。帰宅してからそのことを口にすると、聞いていた息子が、見たのか、と言った。あの場所は自動車事故も自殺も多く、若い娘を見た者もいるという。真昼の怪談である。
原典より
自分の所から二十里ほどの後藤野の話。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。