かまどの湯気から笑った弟
どんな伝承か
昭和十九年の夏のある朝、妻が怯えた様子で夢の話をした。明け方に起きて朝食の支度をしようと炊事場を見ると、かまどに掛けた鍋から湯が沸き立ち、その湯気の中から筆者の弟である三郎が首を出してにっこり笑った。背筋に悪寒が走ったところで目が覚め、夢だったと分かったという。のちに届いた戦死公報で、出征していた弟がちょうどその前後にバシー海峡で戦死していたことが判明した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。