山に化けて汽車を止めた狸
どんな伝承か
五日市線が通った頃、その辺りに二匹の狸がいて、よく化け比べをしていた。一方が、自分にできないことはない、何にでも化けてみせると言うと、もう一方が、それなら汽車を止めてみろと持ちかけた。引き受けた狸は息をいっぱいに吸い込んで腹をふくらませ、線路にまたがって寝そべった。やって来た運転手は、目の前に大きな山があるので仰天する。こんなところに山があるはずがないと思っても、止めようにも間に合わない。ぶつかると思った瞬間、何事もなく通り過ぎてしまった。翌朝行ってみると、狸が一匹ぺちゃんこになっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。