明治初年の事(2)
どんな伝承か
山口県玖珂郡本郷村(現岩国市)の話。明治初年のこと、師走の集金を終えた万吉が真夜中にひじきの峠にさしかかると、何百何千という山猫の声が近づいてきた。恐ろしさに体が震えて動けずにいると、どこからか一匹の狼が現れ、万吉の脚絆をくわえて山の尾根まで引き上げた。下の道を無数の山猫が鳴きながら通り過ぎると、狼はまた脚絆をくわえて下の道へ降ろし、帰れというように放した。万吉が礼に握り飯を作ってやると狼はうれしそうに食べ、いつのまにか姿を消した。万吉は三年目にも同じようにこの狼に助けられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。