木積沢**(3)
どんな伝承か
岐阜県恵那郡福岡町木積沢(現中津川市)の話。今から五代ほど前、明治より五十年ばかり前の時代のこと。上から二軒目の家に代々「長」の名を継ぐ者があり、その何代目かの長吉という強い男が蛭川から帰る途中、道で狼が大きな口を開けて向かってきた。よけて通ろうとするとまた前に回って口を開く。おかしいと思ってのぞくと骨が見えたので、石を口にはさんで手を入れ、鹿の骨を引き抜いてやった。翌朝、表の戸で物音がして出てみると、鹿の後足が一本転がっていた。狼は人間より義理堅い、神さまにしておかねばならないと人々は語り伝えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。