萩中
どんな伝承か
高知県高岡郡大野見村萩中の話。昔はどの百姓家も草場を持ち、九月になると草を刈って馬の飼料や敷草にした。作兵衛の家でも夫婦と奉公人の凡太の三人で芝草山へ行き草刈りをした。作兵衛が休もうと声をかけたが、凡太はもう少し刈ってから帰ると言って残った。待っても戻らないので七、八人で探しに行くと、凡太は走ったり転んだり一人で暴れ狂っていた。若い者が手を取ろうとすると、ものすごい力で突き飛ばした。総がかりで取り押さえ、縄で縛って担ぎ帰った。凡太は正気づいてもぽかんとして何も話さず、山のことを聞いても一切語らなかった。誰言うとなく、凡太は芝草山で天狗と相撲を取ったのだということになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。