上ノ加江
どんな伝承か
常二はあるとき友達と二人で沖へ漁に行ったが、急に風向きが変わって大嵐となり、櫓も櫂も流されて山も見えぬ沖へ押し流された。食う物も水もなくなり死のうと思ったが、時々舟の回りにアジやトビウオがつき、それを釣ったり突いたりして食べた。常二は食事時になると急に腹がふくれた心地がした。父が毎日陰膳を供えて無事を祈っていたからだといわれる。七日目、神に最後の祈りをして眠ると「西へ向って走れ」とお告げがあり、板切れで漕いで八日目に島へ着いた。流れ着いたのは伊豆七島の青ヶ島であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。