阿賀の川で尻を抜かれた子ら
どんな伝承か
新潟県の旧豊栄市大迎に住んでいた人の回想である。大正十五年ごろ、小学生だった話者にとって泳ぎ場といえば、歩いて行ける阿賀の川の川原だった。大きな流れで、泳ぐうちに深みへはまって溺れ死ぬ子どもが少なくなかった。そうした子について大人たちが、あれは河童にさらわれたのだ、亡骸を見たら尻を抜かれていたから、と話しているのを何度も耳にしたという。尻を抜かれるとはどういう有様なのか、話者自身は見たことがない。それでも大人が真顔でそう語り合う場面に、たびたび出くわしたと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。