小椿の百六歳になるおかめ婆さんというが、十歳になる娘
どんな伝承か
山梨県南都留郡道志村の小椿の、百六歳になるおかめ婆さんという人が、十歳になる娘を連れてわらび採りに出かけた。大川へ降りて丸木橋を渡ろうとすると、娘はしきりに川向うに小児がいると訴えたが、婆さんの眼には少しもそれらしいものが映らない。娘が橋の半ばまで渡りかかると小児は見えなくなり、娘は丸木橋から転落して急流に姿を消した。婆さんは激流に飛び込み、下砂原まで押し流されながら白渦の中を狂い廻ったが、娘の骸は腹を空にされて浮かび上がった。かんちきはこの頃、砂原近くの秤石淵という大淵の底に棲み、人の尻ごう玉から細い手を差し入れて五臓六腑を引き出して食べていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。