夷の祭礼の鬼太鼓と御神楽
どんな伝承か
夷の町の祭は新暦六月の十五、十六日である。宿を決めると早速見物にかかった。馬に騎った鼻高童子の人形を車に載せて曳いて行き、信州と同様に舟の形をした飾り物もあって、これにも下に小さな車が附いている。同じ行列の鬼太鼓というものも見た。髪は能の猩々のように長く垂れ、面はなかなかの上作と思われた。撥の持ち方に特色があり、一方の手に二本とも持つことが折々あって、その姿はよほど蘭陵王の舞の絵に似ていた。夜に入り、笛の音をたよりに尋ねて行くと、吾妻楼という貸座敷の奥の間で御神楽がある。舞っている神子は神主の細君だという。舞の後で法螺貝を吹いたのは全く珍しい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。