船頭殿加奈之の塚・友盛御嶽
どんな伝承か
浦添の旧城も、栄えた時世よりも淋しい間の方がずっと永かった。赤い桜が山に咲いていた無為の日にやって来て、恐らくはある日の大和の船頭殿加奈之なども、茫然としてこの昔を眺めたことであろう。いかなる種類の船頭殿であったか、それもことごとく今は不明になったが、安波茶の友盛御嶽はすなわちこの人の塚で、永く旅客の神として祭られたというから、来ていたことだけは確かである。日秀上人が来た頃にはもう沖縄は平和であったが、邑人があまりに妖怪に悩まされるのを気の毒に思い、一字一石の経を写して経塚を築くと、それが後にはまた御嶽となって拝まれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。