枡の底を叩いて捜す狐憑き
どんな伝承か
田野浦では、キツネに憑かれた者は体が軽くなり、夢遊病のように家を出て行くといわれた。姿が消えると人々は太鼓や一升枡の底を打ち鳴らし、名を呼んで戻れと叫びながら心当たりの方角を捜し歩いた。それだけに、平生から枡の底を叩く者は狐憑きでもあるまいにと戒められた。ある男が行方知れずになったときも枡を叩いて捜し、畑のわきでけがをしてぼんやり立っているのを見つけた。無理やり連れ回されてぼた餅を食べさせられたと言い、口のまわりは汚れていたという。落とすには食を断って打ち据えるので、衰えて命を落とす者もあり、穴に入れて煙でいぶすこともあった。祈禱師はトウガラシを焚いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
北九州市編『北九州市史 民俗』を全354話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。