牧山の坂の野ギツネ憑き
どんな伝承か
戸畑区天籟寺は、大正の初めごろ八幡製鉄所の増設で人口が激増し、農家は野菜作りにも力を入れて車力で市場へ運んだ。当時四十歳ほどの某女も、夫の車力の後押しをして八幡の市場へ行った。牧山の坂を登るとき、軽かった車が急に重くなったので夫が振り返ると、妻は他人の車を後押ししていた。日ごろしないことなので不審に思っていると、家に帰るなり妻はにわかに発熱した。入れ薬も効かず、医者にも原因がわからず、布団を頭からかぶって寝ているばかりであった。ある日、見舞いに来た人が布団をめくると妻が舌をペロリと出したので、「こりゃ野ギツネの仕業」と見破った途端、キツネが落ちたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
北九州市編『北九州市史 民俗』を全354話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。