キツネに見られた占い師おセキさん
どんな伝承か
天籟寺には、明治のころから占いを行うおいなりさまが絶えずいた。長く務めた土着の安田某のあと、大正には他県から移った高尾某が継ぎ、次いで土地のおセキさんが昭和二十年代まで見立てを続けて、よく当たると評判を取った。おセキさんが役を負うようになったのは、正津の山で薪を取っていた折にキツネに見られてからだと古老は語り、以後は夜ごと帆柱山の麓の寺に参って行を積んだという。座敷の正面には祭壇を据えて御神体を置き、両端に狐の焼き物、供物とサカキを飾り、注連縄で俗世と仕切る。やがて異様な声とともに神が降り、頼み事を解いた。狐憑きを落とすときは、憑かれた本人が弱るというのでダイ役へキツネを移し、その口からキツネの言い分を語らせた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
北九州市編『北九州市史 民俗』を全354話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。