芋畑で斬られた妾と血の井戸
どんな伝承か
元禄のころ、文京区小石川の牛天神下に細田という家があった。その家の主が妾の心を疑い、芋を植えた畑で斬りつけたところ、女はみずから屋敷の井戸に身を投げたという。それからのち、この屋敷の菜園では、丸い実のなるものを植えてもまともに育たなくなった。井戸の水も血のように見えたと『遊歴雑記』は記す。先祖の所行が子孫に祟った例として語り伝えられてきた。
原典より
元禄年間(一六八八―一七〇四)に、文京区小石川の地で、牛天神下の細田家の某は、妾を疑って芋園でなぶり切りにしたので、妾はみずから井戸の中に飛び込んだ。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・昭和51年(1976)刊) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・昭和51年(1976)刊)
大島建彦・渡辺千佳子『武蔵の伝説』(角川書店「日本の伝説」シリーズ・昭和51年=1976刊)を全799話・伝説単位で収録(巻頭「はじめに」は除く)。旧国「武蔵」=東京都・埼玉県および神奈川県の一部(川崎・横浜など)にまたがる伝説を、木/石・岩/水/塚/坂・峠・山/祠堂/家・村/祭礼・行事 の八部門に分類して集成する(内訳 東京都371・埼玉県353・神奈川県75話)。