洗われて雨を呼ぶ鍋山の観音
どんな伝承か
韮崎市神山町鍋山の上小路には、天文年間に甘利氏が開いた少林山大慈寺がある。その庭には六間四方ほどの湧水池があり、そこから西の小高い場所に、武川筋十八番の札所である馬頭観世音を祀る堂が建つ。昔、何者かがいたずらをして、堂の前のこの池で本尊を洗ってしまった。それ以来、この観音の例祭の日には必ず雨が降るといわれ、今でも雨乞いの祭りには本尊を池に入れるという。春祭りは三月二十一日、夏祭りは八月二十日で、馬の姿を刷った札を全戸に配って行う。例祭は武川筋随一の大祭で、祭り提灯は数百を数えたが、最中にたびたび夕立に見舞われ、提灯を出したり入れたりで村中が大騒ぎになったという。
原典より
鍋山の上小路に天文年中甘利氏が開基した少林山大慈寺がある。—— 韮崎市の民話伝説(昭和四十二年(1967)刊) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
韮崎市の民話伝説(昭和四十二年(1967)刊)
山梨県韮崎市(穴山・穂坂・清哲・神山・大草・藤井・竜岡・中田・円野ほか各町)に伝わる伝説・民話を、木/石/水/塚/坂・峠/山/谷・沢/屋敷跡・城址/祠堂/その他 の各部門に分類して集成する。武田信玄・勝頼ら甲斐武田氏や新府城にまつわる伝承、日本武尊・源為朝・弘法大師の旧跡、御神木や霊石・霊池の怪異、稲荷・地蔵・観音の霊験、狐狸むじな・河童・鬼の昔話など、韮崎の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。