長者が池
どんな伝承か
昔、富士の裾野に住む炭焼松五郎の炭を焼く煙が高く立ち昇り、京の都からも見えた。陰陽師の占いで、その煙の主が縁遠かった皇女の婿になる者と出たので、姫は煙を目当てに富士の裾野へ旅をした。留守居の「明見にござらっしゃる」を明日来いの意と取り違えて二度無駄足を踏み、三日目にようやく松五郎と会い、貧しさを憐れんで小判二枚を贈った。小判の価値を知らぬ松五郎は、道端の池に浮く二羽の鶴にそれを投げつけた。二人は夫婦となり炭焼長者と呼ばれたが、姫は重病になり、都の見える山に埋めよと瓔珞の冠を託して世を去った。松五郎が最も高い山に冠を埋めると、翌春そこから瓔珞に似た躑躅が咲いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。