長者が池
どんな伝承か
甲斐国境の天子ヶ岳の麓に、都の姫君が神の告げに従って訪ね来て、炭焼の長次郎と夫婦になった。姫の持つ宝珠は金でも米でも思いのままに振り出したので、長次郎はたちまち富み、三年経たぬうちに近隣の地面は残らず彼のものとなり、日に千人の百姓を使う長者となった。折しも富士の巻狩に来た頼朝から笠を千人前借りたいと申し込まれ、長次郎はすぐに笠作り千人を集めて差し出す。返礼に片眼千人を集めようとした頼朝が果たせぬのを見て驕った長次郎は、使者の片眼たちを近くの池に沈めてしまった。粟蒔きの日には扇で日輪を招き止めて種を蒔き尽くしたが、その夜熱病にかかり、自ら片眼を沈めた池に身を投げた。今もその池の魚は片眼だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。