木の葉を船にして渡った大師
どんな伝承か
平安のころ、諸国を歩いていた弘法大師が、谷中の里から足立の地へ渡ろうとした。船頭は着いたばかりの船を杭につないだところで、乞食坊主のために船は出せぬと相手にしなかった。大師は岸を歩きながら川面を見ていたが、やがて木の葉を三枚水に浮かべて呪文を唱えると、葉はたちまち船になった。大師はそれに乗って向こう岸へ渡ってしまう。次に土地の豪族が渡しを頼むと船頭はすぐ案内したが、綱を解いても船は動かない。叱られて慌てた船頭は、先の僧が弘法大師だったと後に知り、前非を悔いて彼方を伏し拝んだ。翌朝、船は動くようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。