赤子の内股に浮いた弔いの文字
どんな伝承か
昭和十三年、足立区千住の大工梅島作爾は、四十五になっても独り身の変わり者、山崎竹二と銭湯で知り合った。右肩に三つ並ぶ黒子を腕のよい証しだと褒めたのが縁だった。翌年、名古屋から戻った梅島が土産を持って長屋を訪ねると、山崎は俯せに死んでいた。心臓麻痺で身寄りもなく、梅島が葬式を出して谷中の寺へ葬る。やがて大阪の呉服屋幸田哲夫が訪ねてきた。授かった男児の内股に、東京千住の梅島故人の霊を弔う、と読める青痣があるという。筆跡は梅島のものだった。墓を建てて供養すると痣は消えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。