おさん狐
どんな伝承か
昔、江波に車引きがいた。仕事を済ませて金を調べると足りず、金箱に柴の葉が二枚入っている。翌晩も同じだった。明日はこの柴を誰が入れるか見てやろうと思って早く寝た。翌晩、車を引いて戻っていると、後ろから三十前後の年増女が「車屋さん、中ん棚まで行ってくれ」といい、いつもの二倍払うというので喜んで行くと、多くの金をくれた。帰ろうとすると「帰りも一緒ですよ」といい、すぐ戻ってきて江波まで帰った。藪のところで下ろしてくれと言って車から飛び下り、急に姿が見えなくなった。家へ帰って金箱を見ると、今採ったばかりの柴の葉が入っていて、車引きは初めてお三にやられたことを知ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。