人魚を食べて故郷を離れた中条の老婆
どんな伝承か
中条の修行者佐貫坊が信州の山中で道に迷い、日が暮れて一軒の家に宿を借りた。出てきたのは若いとも年寄りともつかぬ老婆で、言葉に備後なまりがあると言い当て、中条の者だと知ると、今もいわしはよく獲れるかと尋ねた。海から三里も離れた土地だと答えると、老婆は自分の覚えている中条は海のほとりで、南に網代があり、中条いわしは世に知られていたと言う。若いころ漁師にもらった人魚を食べたために長く生き、子も孫も先立って郷を出たのだと明かした。帰って話しても知る者はなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。