物語に描かれた次盛の禁漁と怨霊
どんな伝承か
室町期の草子『あこきのさうし』は、あこぎが浦に住んだ平の次盛の物語として阿漕の伝えを語る。次盛は伊勢平氏の家に生まれて少掾に任じたが、贄の浦での漁を禁じる神宮の掟に従わず、一族百二十騎を集めて橋を切り、鮑を採る海人を妨げた。訴えを受けた国司の兵に討たれて捕えられ、例に任せて生きながら海へ沈められる。その後、次盛の霊のせいだといって疫病がはびこり人が死んだので、僧の行鎮が塚で懇ろに弔い、神主の友盛が幣を掛けて祠に祀り、ようやく鎮まったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。