櫛に目を突かれた宮司と片目の魚
どんな伝承か
鴨池から六百メートルばかり隔たった場所に犬の沢という集落があって、その裏山に盲が池と呼ばれる池が横たわる。昔のこと、菅生石部神社の宮司が女神の姿をひと目拝もうとしたところ、髪を梳いている最中だった女神は怒り、ツゲの櫛で宮司の目を突いたという。櫛ではなく簪だったとも伝える。神の怒りに触れたと悟った宮司は白装束のまま池へ身を投げ、それ以来この池の魚はみな片目になった。土地では宮司の命日に鏡餅を池へ投げ入れる行事が営まれ、若者が飛び込んで拾おうとしたが、誰も拾い上げられなかったという。かつては鴨池とこの池が通じていたとも言われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。