枝折山
どんな伝承か
醒ヶ井に霊仙という山がある。霧が深く、登った者がよく道に迷う恐ろしい山だといわれていた。その麓に、老いた父と孝行な息子が住んでいた。ある年、作物が取れず食べる物が尽きると、父は「霊仙の神さんの所へ行かせてもらう」と言い、山へ連れて行ってくれと息子に頼んだ。息子は泣いて断ったが、毎日せがまれて仕方なく父を背負って登った。父は道の分かれるたびに枝を折っていた。神の前に父を置いて下りる途中、息子は道が分からなくなったが、折られた枝をたどって無事に下山できた。父が自分の帰りを案じたのだと知った息子は、翌日父を迎えに行き、また二人で暮らしたという。それから、この親子の住んでいた所を枝折と呼ぶようになったと伝えられる。
原典より
〈柳田―「六十落」〉醒ヶ井に霊仙ちゅう山があんの。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。