琵琶湖の始まり
どんな伝承か
大昔、近江という所には琵琶湖もなく、ふつうの土地であったという。そのあたりにいた人間はひどい怠け者ばかりで、一日中寝転んで何もせず、喧嘩をしたり人の食べ物を盗んだりしてばかりいた。それを見た天の大きな神が、なんと怠け者どもか、一度懲らしめてやらねばならぬと怒ると、あたりが急に暗くなり、空から柱のようなものがどんと落ちてきた。それは神の足であった。驚いて見ているうちに足はすうと天へ引き上げられ、そのあとに大きな足跡が残った。するとその足跡にどこからか水がざあざあと流れ込み、みるみるいっぱいになった。それが琵琶湖になったのだという。
原典より
〈高木―「羽黒山」 柳田―「大人の足跡」〉むかしむかし、ほんまになんにもあらへんような大昔にな、近江ちゅう所は、琵琶湖もなんにものうて、普通のとこやったんやて。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。