井桁屋婆
どんな伝承か
昔、柳ヶ瀬に太郎が母と呼ばれ親しまれた老婆がいた。生臭物が大嫌いだったのに、病気をしてから急に肉や魚を好むようになった。敦賀郡東郷村から来た武士が五幡越の坂で日が暮れ、権現様の祠に泊まると、夜中に狼の声が近づいてきた。武士は松の木にのがれたが、狼は肩梯子を組んで登り、もう一匹で届かぬので「太郎が母を呼んでこい」と言う。やがて大きな狼が襲いかかり、武士が刀で切りつけると総崩れになって逃げた。血の跡をたどって柳ヶ瀬の家を訪ねると婆さんが怪我をして寝ているといい、入ると裏から大きな狼が逃げ、縁の下には人骨が散らばっていた。村人は太郎が母の像を刻んで祈祷し神社に安置し、以来狼の害はなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。