櫛と笄が語る井の明神の人柱
どんな伝承か
井口の日吉神社の東には小さな社があり、もとは高時川のほとりに祀られていたものを移したという。井の明神と呼ぶ水利の神で、社には櫛と笄が納められている。昔、水の取入口はいくら埋めても穴があき、用水へ水が流れず人々は困り果てていた。富永の庄の水利をあずかる井口弾正も手を尽くせずにいたころ、庄屋が、婦人を人身御供にすれば水は流れると岩滝大神が夢で告げたと伝えてくる。それを聞いた弾正の娘の一人はひそかに大穴へ身を投げ、竜神に命をささげた。たちまち岩が転がって穴をふさぎ水は流れ出し、岩の上に残された櫛と笄から人々は娘の犠牲を知ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。