ちぬるみぞの名が残る弥三郎の杭打ち
どんな伝承か
伊吹山には伊吹弥三郎という大男の怪人が住んでいたという。千田の庄屋うねめは田へ水を引く井の杭がどうしても立たず難儀しており、村人の勧めで弥三郎に助けを求めた。弥三郎は娘を嫁にくれるならと条件を出し、娘も承知したので次々と杭を打ち込んでいく。ところが約束の百本目を打った瞬間、村人が一斉に飛びかかって脇の下を突いた。血まみれの弥三郎が怒って娘を奪いに千田へ走ったため、道筋の溝は真赤に染まり、今も“ちぬるみぞ”の名で呼ばれる。娘は守られて手が届かず、山へ戻った弥三郎は岩を千田へ投げ続けた。田に転がる大石はその名残だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。