空印寺に残る八百比丘尼の窟
どんな伝承か
『若狭国伝記』の伝える八百比丘尼の窟の話。この窟は空印寺にある。昔、小浜の人十人ばかりが舟で沖へ出たところ、にわかに風浪が起こって漂流し、思いがけず一つの島に着いた。上がってみると金の楼門があり、扉を叩くと衣冠の人が出て、主人が客として席に招いた。玉と金で飾られた家で饗応を受けたが、供された膳には人の肉のようなものがあり、みな恐れて食べなかった。風がおさまって帰郷したのち、一人が袖に入れて持ち帰ったその肉を女子が食べ、以後、病もなく八百歳を保ったので八百比丘尼と呼ばれた。島は蓬萊、肉は人魚であろうと言われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。