正体を見られた山姥と軒のウツギ
どんな伝承か
あるところに一人暮らしのおじいさんがいた。そこへどこからともなくおばあさんが来て、嫁でもないのに一緒に暮らし始めた。ろくに食べないのによく働くのを不思議に思ったおじいさんは、遠くの山へ仕事に行くふりをして家に隠れ、様子をうかがった。するとおばあさんは正体を現し、口が耳まで裂けた山姥の大女となって、大釜いっぱいの飯を握っては食べ尽くした。思わず声を上げたおじいさんは見つかってたらいに押し込まれ、山奥へ運ばれた。途中、頭の上にからんだウツギの木と藤のつるにしがみつくと、山姥は気づかないままたらいをかついで行ってしまい、おじいさんは逃れた。それ以来どの家でも、四月八日にはウツギと藤つるを軒に挿して山姥の難を避けるという。
原典より
途中、おじいさんの頭の上に、ウッギの木と藤のつるがからみついたので、おじいさんはそれにしっかりつかまりました。—— 騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史)
『騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪』は、騎西町が編んだ町史民俗編のうち、方言一覧の末尾と第9章「伝説・昔話」を収めたものである。調査協力委員や地域の老人クラブを通じて集めた二十八話で、久伊豆明神(玉敷神社)の獅子、雷電社の雨乞い、和尚の説話、いぼとり地蔵、入定塚、念仏橋、狐やムジナに化かされた話などを、話者名や郷土誌の出典を添えて載せる。章のはじめに伝説と昔話の違いを述べ、神社・寺堂・塚と橋・行事のいわれ・妖怪談の五節に分ける。