狐に化かされた電気屋と消えたサンマ
どんな伝承か
勝山では狐に化かされた話がいくつも聞かれた。勝山の電気屋は狐に化かされ、スタンドを立てた自転車のペダルを一晩じゅうこぎ続けたという。昭和三十年十月の夜には、総代の田村一治が野栗の魚屋でサンマを十六本買って帰ったが、家に着くと一本しか残っていなかった。不思議がっていると翌日魚屋が、ゆうべ魚を取られただろうと言う。夕飯の支度をしていた女が、イトナ河原に魚の頭が十二、三本あったと口走ったのだという。その女に狐が憑いていたのだろうと語られた。化かされる場所はほぼ決まっているともいう。
原典より
それは昭和三十年十月の夜のことであったが、帰って見るとサンマは一本しか残っていない。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集)
『群馬県多野郡上野村の民俗 下(群馬県民俗調査報告書 第2集)』は、群馬県多野郡上野村の民俗を調べた報告書の下巻である。この写しは「十二、講・妖怪・その他」の章だけで、八日見山・峠様・榛名様などの代参講、庚申講、トラ祭りと、勝山・新羽の両地区で聞いた山犬・オサキ・狐に化かされた話・再生・カッパ・オニンババの足跡などの話を収める。お札や庚申塔の写真を添え、近藤義雄の撮影と記す。