伊場遺跡の疫病除け人像土器
どんな伝承か
古代の日本では、悪霊に狙われないよう、わざと汚い名をつける風があったとされ、名に『屎』の字を含む例が多く知られる。浜松市の伊場遺跡からは八世紀の皿形の土器が出土しており、疫病を除けるために人の姿を墨で描き、海部屎子女という名が書き添えられていた。人名につくマロも糞を表し、魔除けの願いを込めてつけられたのではないかという考えを裏づける資料の一つとされる。
原典より
静岡県浜松市の、八世紀の伊場遺跡から、疫病除けの皿形土器に人像を墨描きし、海部屎子女という名を記したものが、出土している。—— 霊魂の博物誌――原始生命観の体系(碓井益雄・碓井益雄・民俗学・1982年(昭和57年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の博物誌――原始生命観の体系(碓井益雄・碓井益雄・民俗学・1982年(昭和57年))
『霊魂の博物誌――原始生命観の体系』は、動物発生学を専攻した碓井益雄が著し、昭和五十七年に河出書房新社から刊行した書である。原始・古代の人々が霊魂をどう考えたかを、日本と諸外国の神話・民俗・古典・言葉の資料から説き、気息や人魂、風や雲、鳥や昆虫、幽霊や影として現れる霊魂の姿と、内臓・心・感覚器官に宿るとされた霊の座を論じ、屎尿や屁、名前と言霊にも章や節を割く。序章と全九章からなり、各章末に参照文献の注を付す。