沼津で犬に噛まれた画僧狸
どんな伝承か
近頃、鎌倉のある寺の使僧と称し、伊豆駿河の間を勧化して回る僧がいた。この僧は絵をよくし、村夫や山妻がこぞって買い求めたが、ついに沼津で犬に噛まれて死んでしまった。人々が驚いてその屍を見ると、正体は僧に化けた狸であった。この狸が描いた鷹が柿を銜む図を、沼津のある者の家が今も所蔵しているが、鷹は死んでも穂を街まないものだということを知らずに描いた拙さが笑われている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。